サイトのSSLで多くの方が無料のSSL(Let's Encrypt)を利用されていますが、サイトの引越し、サーバー移転を行う場合は思っている以上に厄介なので、気を付けてください。

HTMLファイルのみのサイトならあまり問題はありませんが、注意すべきなのはWordPressのサイトです。DNSの切り替えの時にサイトが表示されず、それが数日間続くかもしれません。

このような事態はなるべく避けたいですよね。
今回は、無料SSLを利用したwordpressサイトの引っ越し方法の注意点と、スムーズに移行を行う為の方法についてご紹介します。

目次

無料SSLを利用しているサイトの引越しはなぜ難しいのか?

一言で説明できないので、順を追って説明します。

まずは、wordpressサイトのサーバーの移転についておさらいします。 次の2つの方法でサーバーの移転を行う場合の違いについて確認していきましょう。

  • (1)SSL化する前のサイトで、サーバー移転後にSSL化する場合
  • (2)SSL化済みのサイトのサーバー移転を行う場合

(1)SSL化する前のサイトで、サーバー移転後にSSL化する場合

  1. 新しいサーバーにサイトを移転 (http)
  2. ネームサーバーの変更 (http)
  3. SSLの申し込みと設定 (https)

(2)SSL化済みのサイトのサーバー移転を行う場合

  1. 新しいサーバーにサイトを移転 (https)
  2. ネームサーバーの変更 (http)
  3. SSLの申し込みと設定 (https)

両方とも行う作業としてはまったく同じです。違いがあるのは、1の部分でSSLかSSLでないかということです。

(1)の2の時点ではサイトはhttpの状態で、サイトの表示が確認できます。

(2)の2の時点ではサイトはhttpの状態ですが、WordPressの設定がhttpsの状態になっているのでサイトが表示されません。3のSSLの反映が完了するまでサイトの確認をすることができません。

2の時点でSSL化が有効になっていれば表示されますが、無料SSLの場合はネームサーバーが完全に切り替わってからでないとSSLを有効化することができないのです。

ちなみにネームサーバの切り替えは数分から72時間、SSLの発行は1時間~数時間かかることもあるので、最大数日の間サイトが表示されなくなるかもしれません。

なるべくこのような事態を避けるには、どのような方法が良いのでしょうか?

次の章にて、詳しく紹介します。

無料SSLを利用しているサイトの引越し方法

無料SSLを利用しているサイトの引越しで、なるべくタイムラグを発生させない方法は2つあります。

(1)SSL化しているサイトをhttpに戻し、サーバー移行後に再びSSL化

古いサーバーでSSL化する前のhttpのサイトに戻して、新しいサーバーに移行し、再度SSL化します。

(1)の手順

  1. 古いサーバーでhttpのサイトに戻す (http)
  2. 新しいサーバーに移行 (http)
  3. ネームサーバーの変更 (http)
  4. 新しいサーバーでSSLの申込み・設定 (http)
  5. サイトのSSL化を行う (https)

※3から4の設定はすぐに出来ないので、しばらくhttpの状態になる

この方法は確実な方法ですが、結構手間がかかります。また作業の工程が増える分、ヒューマンエラーが生じる可能性も増えるので、あまりオススメな方法ではありません。

(2)事前にSSL証明書をインストール

新しいサーバーで事前にSSL証明書をインストールしておき、SSL化したまま移転します

(2)の手順

  1. 新しいサーバーでSSL証明書をインストール (https)
  2. 新しいサーバーにサイトを移転 (https)
  3. ネームサーバーの変更 (https)

証明書の持ち出し/持ち込みができるサーバーを利用、もしくは有料のSSLを利用することで事前にSSL証明書をインストールしておくことが可能です。この場合はタイムラグなしにスムーズに移行が完了します。

サーバーが対応していれば、タイムラグが生じない2の方法が良いでしょう。ただし有料のSSLは思っている以上に費用がかかるかもしれないので、事前にご確認ください。

レンタルサーバー別の対処法

主要なレンタルサーバー別に無料SSLサイトの引っ越しの対処法をまとめてみました。

さくらのレンタルサーバ

ロリポップ

  • SSLの持ち込みに対応していない。
  • 有料SSLが2,000円/月となっている。

エックスサーバー

heteml

  • SSLの持込みには対応していない。
  • 有料SSLが18,000円/年となっている。

Mixhost

  • SSLの持込みに対応。

最後に

サーバーを移行する際に、ある程度のタイムラグが許容できる場合は選択肢が広がりますが、できるだけタイムラグを発生させたくない場合は、移行先のサーバー選びが非常に重要になります。そのため、慎重にご検討ください。

また、有料のSSL証明書を申し込む際は、証明書の種類によって手続きが複雑になることがあります。手続きに手間がかかる場合は、SSLの申請代行サービスを利用することも検討してみてください。