AIにコードの修正や不具合対応を依頼する時のコツ
AIにコードの修正や不具合の対応をお願いする時、曖昧な依頼をするとAIも意図を理解できず、期待通りの結果が得られないことがあります。その結果、「修正 → 再依頼 → また修正」といったやり取りが何度も繰り返され、時間がかかってしまうことも少なくありません。
こうした手間を減らして効率よく作業を進めるためには、事前の準備と依頼の仕方の工夫がポイントです。これからご紹介するコツを意識すれば、AIにスムーズに依頼できるようになりますよ。
目次
- 依頼前に準備しておくこと
- 実際に依頼する時の工夫
- 注意しておきたい点
- 依頼前チェックリスト
- まとめ
1.依頼前に準備しておくこと
サイトやコードの構造を分析してもらう
まずはプロジェクト全体の構造をAIに把握させておくと、後のやり取りがスムーズになります。
例:「このプロジェクトを解析して、構造や設計を整理してください。改善点があれば教えてください。」
こうした内容をまとめてAGENTS.mdのようなドキュメントに残しておくと、次回以降の依頼にも役立ちます。
コードの理解を深めたい時は解説やレビューを依頼する
自分で書いたコードでも、時間が経つと細かい内容を忘れてしまうことがあります。また、他の人が書いたコードは特に理解しづらい場合があります。そんなときは、気になるコードを指定してAIに解説してもらうと、理解が深まりやすくなります。
例:
- 「このコードを一行ずつ丁寧に解説してください」
- 「以下のコードをレビューして改善点を提案してください」
2.実際に依頼する時の工夫
エラーメッセージは必ず提示する
「エラーが出る」とだけ伝えてもAIは状況を特定できません。必ず具体的なエラーメッセージを全文掲載しましょう。
修正依頼はなるべく具体的に
修正箇所を明確にするとAIの出力精度が高まります。
例:
- アニメーション:「スクロールで画面内に入った時、画像をフェードインさせるコードを書いてください」
- レイアウト崩れ:「スマホ表示で◯◯のレイアウトが崩れるので修正してください(キャプチャー画像あり)」
- WordPressテーマ:「WordPress6.8.1にて利用しているこのテーマを解析して問題点を改善してください」
- コード変換:「jQueryのコードをJavaScriptに書き換えてください」「このページの23〜40行目をTailwindに変換してください」
コードにコメントをつけてもらう
JavaScriptやPHPなどのプログラムの場合は、後から理解しやすくするために、AIにコメントを自動付与させるのも効果的です。
例:「コードの冒頭に日本語の要約コメントを簡潔に書いてください。コード内にはコメントを入れないでください」
3.注意しておきたい点
AIにコードの修正や不具合の対応をお願いする時には、以下の点についても注意が必要です。
(1)AIの処理量には限界がある
利用しているAIのサービスにもよりますが、一般的にAIは長いコードを一度に処理させると精度が下がります。なるべく小さなパーツに分けて依頼するようにしましょう。
(2)見た目よりロジックが得意
デザインデータからの自動コーディングはまだまだ品質が低く、実務でそのまま使うのは難しそうです。逆に、複雑なプログラムの処理の実装はAIが得意とする部分です。
(3)利用者にもスキルが必要
AIをうまく活用するには、利用者に以下の点が求められます。
- AIに対して正確に指示を出せること
- 出力コードの意図を理解し、不具合に気づけること
- 最終的なデザインの調整を自分で行えること
そのため、これらのスキルがまだ十分でない初心者にとっては、AIを思い通りに使いこなすのは難しいかもしれません。 一方で、基礎をしっかり身につけた中級者以上の方であれば、AIをより有効に活用できるでしょう。
4.依頼前チェックリスト
それでは、実際にAIに依頼する前に、以下のポイントを確認しておきましょう。 このチェックを習慣化すると、依頼がスムーズになり、期待通りの結果を得やすくなります。
- エラーメッセージをコピーしているか(全文をそのまま提示する)
- 修正箇所を明確にしているか(「◯行目」「◯◯の機能」「スマホ表示時」など)
- 参考情報を添えているか(画面キャプチャー・関連コード・URLなど)
- 依頼内容を小さな単位に分割しているか(一度に大きな修正を依頼しない)
- コードにコメントを付けるかどうかを指定しているか
- AIが理解しやすい形で背景情報を伝えているか(プロジェクトの概要や構造などをAGENTS.mdに記載する)
5.まとめ
AIを「正確に指示できるかどうか」で、出力されるコードの品質は大きく変わります。 上記のチェックリストを活用しながら、AIを共同作業のパートナーとして使いこなすことで、効率的に不具合解決や修正が進められるようになるのではないでしょうか。