【Web制作者向け】11ty・Tailwind CSS・Alpine.js・Gitで実現する柔軟なサイト構築
この記事は、効率的かつ柔軟にオリジナルの Web サイトを構築したいと考えているフロントエンド制作者・コーダー向けの内容です。
所属する企業や案件規模、制作ルールによって最適な方法は異なりますが、特に以下の条件に当てはまる方におすすめです。
- 主に一般的な企業サイトやランディングページ(LP)を制作している方
※大規模な Web アプリケーションや SPA(シングルページアプリケーション)など、複雑なクライアントサイド処理を多用する案件にはあまり向きません。 - Node.js ベースの SSG(静的サイトジェネレーター)を利用している、または導入を検討している方
- Photoshop や Figma などのデザインデータから HTML/CSS コーディング案件を多く手掛ける方
- 高度で複雑な JavaScript 開発を必要とせず、比較的シンプルな動きや UI 構築が中心の方
- 作業効率を高めつつ、保守性や再利用性の高い構造でサイトを構築したい方
なお、この記事では、各ツールの概要と特徴を紹介します。セットアップや具体的な使い方は含まれませんので、詳細は公式ドキュメントや他記事をご参照ください。
目次
- 柔軟なサイト構築に必要なもの
- サイト構築ツールの紹介
- この構成のメリット
- 最後に
1.柔軟なサイト構築に必要なもの
私はこれまで 20 年以上にわたり、中⼩企業向けの Web サイト制作や保守に関わってきました。その中で常に課題だったのが、以下の 5 つの点です。
(1)複雑なデザインや頻繁な修正への対応
- デザインが複雑な案件ほど、HTML・CSS の構造が複雑になり、後からの修正が大変になりがちです。
- 特に、クライアントからの急なレイアウト変更や追加要望にも柔軟に対応できる仕組みが必要です。
⇒ 柔軟なサイト構築が可能なツール選びが重要。
(2)バージョン管理の重要性
- 複数人で 1 つのサイトを制作すると、ファイルの上書きや変更履歴の追跡が課題になります。
- Git などのバージョン管理ツールを利用すれば、過去の状態への復元や差分確認が簡単になります。
⇒ チーム制作では Git はほぼ必須です。
(3)ファイル管理のしやすさ
- 管理が煩雑だと制作スピードが落ちます。
- ファイルベースで管理できる静的サイトジェネレーターなら、検索や履歴確認も容易です。
※ファイルベース管理=データベースを使わず、コンテンツやコードをファイル単位で管理する方式。軽量でセキュリティリスクも低め。
(4)CSS 設計と効率化
- CSS はルールの統一と管理が重要です。
- Tailwind CSS のようなユーティリティファーストなフレームワークを使えば、クラス名だけでスタイルを適用でき、記述量を減らせます。
(5)JavaScript の軽量化
- かつて主流だった jQuery より、軽量でモダンなライブラリが好まれます。
- Alpine.js は軽量かつ学習コストが低く、簡単なインタラクションや UI 操作に適しています。
⇒ 必要最小限で動作するライブラリを選ぶことで、ページ表示速度も向上します。
2.サイト構築ツールの紹介
私自身もこれまでに様々な SSG や CSS フレームワークを試してきましたが、最終的にたどり着いたのが 「11ty・Tailwind CSS・Alpine.js・Git」 の組み合わせです。この構成は小規模〜中規模のサイト制作に特に向いており、速度・保守性・拡張性のバランスが非常に良いと感じています。
ここでは、それぞれの特徴とメリット、注意点をご紹介します。
(1)11ty(Eleventy)
軽量でシンプルな SSG(静的サイトジェネレーター)。Markdown や Nunjucks など複数のテンプレートエンジンに対応し、HTML を自動生成します。
- 企業サイトやブログなど、情報発信型サイトに最適
- テンプレートやパーツを共通化でき、更新作業が効率的
- ローカル環境で完結できるため、セキュリティ的にも安全
- JavaScript フレームワークは含まれないため、複雑な動きは別途ライブラリを追加する必要あり
※動的機能(会員制サイト、コメント機能など)には不向きで、外部サービスや API 連携が必要になります。
(2)Tailwind CSS
HTML のクラス属性に直接スタイルを指定するユーティリティファースト CSS フレームワーク。デザインの再利用性と開発効率が高まります。
- CSS 設計や命名ルールを一から考える必要がない
- 未使用スタイルを削除(パージ)できるため、CSS ファイルが軽量化
- 初めはクラス名の多さに戸惑うが、慣れると非常にスピーディ
(3)Alpine.js
軽量なフロントエンドライブラリ。Vue.js に似たシンタックスで、ビルド不要 かつ HTML 内に直接記述できます。
- タブ切り替え、モーダル、アコーディオンなど小規模な動きに最適
- jQuery の代替としてシンプルに導入可能
- Tailwind CSS と組み合わせると、非常に軽量な UI が実現可能
※大規模な SPA(シングルページアプリケーション)には不向きで、その場合は Vue.js や React が適しています。
(4)Git
コードやデータの変更履歴を管理するバージョン管理ツール。
- 過去の状態にすぐ戻せる(安全な実験が可能)
- チームでの共同作業にも対応
- GitHub や GitLab と連携してリモート管理可能
- 基本操作だけ覚えれば、十分に日常運用が可能
3.この構成のメリット
「11ty・Tailwind CSS・Alpine.js・Git」の組み合わせのメリットを整理してみました。
学習コスト
- 11ty・Tailwind CSS・Alpine.js に関しては、日本語の情報が少なく、主に英語サイトを見ることになるのが難点ですが、公式ドキュメントが充実しているため、内容自体は理解しやすいです。
- Git に関しては日本語の情報もご書籍等もあるので、そちらをご参考ください。
拡張性
必要に応じて柔軟に機能を追加できます。
例えば、WordPress などの CMS と連携したり、ヘッドレス CMS(Contentful や MicroCMS など) と組み合わせて運用することも可能です。
実際に当サイトも 11ty・Tailwind CSS・Alpine.js・Cloudflare Pages を組み合わせて構築しています。
サイトの表示速度
- Tailwind CSS は実際に使う CSS だけを生成するため、無駄がありません。
- Alpine.js は非常に軽量で、必要最小限の動的処理を実装できます。
- 11ty は静的 HTML ファイルを生成するため、サーバー負荷が低く、表示が速いのが特長です。
保守性
- ページやコンポーネントごとにコードを整理できるため、再利用や修正がしやすい設計になります。
- チーム開発でもファイル構造が分かりやすく、作業分担が容易です。
AI の活用
公式マニュアルが明確なので、ChatGPT や GitHub Copilot などの AI ツールを使ってコード生成や問題解決を効率化できます。
4.最後に
11ty・Tailwind CSS・Alpine.js は数年前から存在していましたが、日本語の情報が少なく、導入には試行錯誤が必要でした。 しかし 2024 年頃から AI の性能が急速に向上し、開発中の疑問を AI に質問しながら進めることで、多くの課題を短時間で解決できるようになり、開発スピードも大幅に向上しました。
現在では、11ty・Tailwind CSS・Alpine.js・Git に AI を組み合わせることで、私が長年理想としてきた「柔軟で管理しやすいサイト構築環境」がようやく実現しました。 この形にたどり着くまでには Web 技術やツールの進化が大きく関わっており、振り返れば約 20 年もの時間がかかっています。
これからは、AI のさらなる進化によって、より効率的で更新しやすいサイト構築が可能になるでしょう。 とはいえ、HTML・CSS・JavaScript・Git 運用などの基本的な Web 制作スキルや経験は今後も欠かせません。むしろ、AI に正確な指示を与えるためにも、これらの基礎力が一層重要になっていくと考えています。